Ustream 中継してみました。

お世話になっている右岸の羊座のイベント「11月5日(土)2時からの映画 記憶のための連作『野田北部・鷹取の人びと』証言篇」にあわせて念願のUstream中継をやってみました。

使用した機材はノートパソコン一台のみ。すごい世の中になったものです。はじめての経験なものですから、失敗ばかりでしたが、幸い、数分間のビデオが三本ほど記録されていますので、興味のある方はUstream サイトにてご鑑賞下さい。

ノートパソコンのバッテリーモードのまま中継したので、節電モードが働いて、中継がなんどかとぎれてしまいました。また、簡単に行うために無線lanを使用したため、帯域も狭くなり、画質などは劣化してしまいました。それでもそこそこ中継できてしまうのですから、すごいですね。

ライブ中継をしなくてもUstreamのビデオ番組には魅力的なものがあります。ツイッターやチャットなどとのコラボがつくる臨場感は新鮮な疾走感を感じましたね。昨日は、日経の番組USTREAM: ラジオNIKKEI「夜トレ」: ラジオNIKKEIで毎週金曜夜9時半ちょっと前から生放送!毎回ゲストをお招きしての1時間。リスナーのみなさんもいっしょに、トレードをサカナにして週末の夜をゆる~くすごしましょう! . …をみましたが、なかなか楽しませていただきました。ライブ中継のセッティングをしながら、ひさびさの「ながら」族気分を味わいました。

twitterやfacebookにも番組内容を紹介するようにするのが、一般的だそうですので、番組の視聴率をつくるためには、これらのソシアルネットへの扱いも丁寧にならざるを得ません。skypeやyoutubeなどのような位相を変えたビデオメディアとの関連などもふくめ、マルチメディアの時代になったということなのでしょう。

「憑依」という観点は、世間にはもっと必要なのかも知れないなあ

ミッション: 8ミニッツ(allcinema,キネマ旬報,AllRovi,IMDb)があまりにも印象的だったので、会う人ごとに話題にしていたら、「マルコヴィッチの穴(allcinema,キネマ旬報,AllRovi,IMDb)のようなものですね」などと言う人がいた。早速マルコヴィッチの穴を鑑賞してみたら、その通りだった。

ミッション: 8ミニッツマルコヴィッチの穴はいずれも憑依がテーマの映画である。

売れない人形師が主人公の一人なのだが、まさに人形に憑依する職業だ。かれは、マルコヴィッチの操作に堪能であり、いつのまにかマルコヴィッチ専従の乗り手となってしまう。乗り移られたマルコヴィッチは売れっ子人形師として成功する。

マルコヴィッチに女性が憑依して、女性と交わるというシーンもある。女性と女性の間に子供ができ、マルコヴィッチの遺伝子をもつ乗り物として次世代に憑依体が引き継がれる。

憑依されていることに気が付いたマルコヴィッチは、他人と同様にマルコヴィッチ(自分自身)に憑依してみる。すると、世の中の人全員が自分の分身になってしまった。

ここは、当ブログで話題にしたの遍在転生観を参照いただきたい。すべては自分というのもあながち間違いではないということになる。

死を経て、憑依するのが輪廻。同じ生にて意識が移るのが憑依ということが言えるかもしれない。

マルコヴィッチの穴は入り組んでなかなか解釈が難しい映画だと思うが、「憑依」という観点から見てみると非常に分かりやすい(ミッション: 8ミニッツマルコヴィッチの穴も、巷ではとくに「憑依」という見方はされていないようだが、)。

憑依がするものなのかされるものなのかも微妙だ。人形師がマルコヴィッチに憑依してなりかわるという一方で、実は人形師がマルコヴィッチに憑依されていたということもいえるわけだ。

恋愛なんかもそうだ。お互い相互依存ならぬ相互憑依といえるのではないか。お互いの心は相手のことでいっぱいになってしまうわけだから。精神病なんかも憑依という見方をすると分かりやすくなるかもしれない。精神病は病気ではないという本もある。

「マルコヴィッチの穴」に限らず、世間を語るのに「憑依」という観点がもっと必要なのかも知れないなあ。

 

工藤美代子著、日々是怪談 そして 快楽-更年期からの性を生きる

少し前に、もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら (幽ブックス)のご紹介をさせてもらったが、面白かったので同じ著者の日々是怪談を読んだ。これもやはり面白かった。絶版のためか、アマゾン中古本は、単行本、文庫本ともに3千円以上のプレミアム価格となっている。「三島の首」という三島由紀夫に関する話があるのも高値の原因になっているかもしれないが、これはわからない。

日々是怪談の中でも著者は「自分には霊感がない」といっているが、これだけあれば十分だと思う。もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったらに比べ、日々是怪談の方がストーリィとしてはおもしろい怪談集になっている。自分としては、8番目の短編「私に似た人」が興味をそそられた。

これは、自分の分身、ドッペルベンガーの話であるが、こういうことは、多分よくあることなのだろうと思う。生き霊の正体に迫る話だと思う。しかし、一番心に残った話は次の話「里帰り」である。取材で知り合ったお婆さんが、同行した若いカメラマンに興味を持ち、死後、この若いカメラマンの側に寄り添っていたという話である。老人の性についての話なのだが、この話の枕に森瑤子女史の話がでてくる。

あれはタクシーの中だった。森さんは五十歳になったばかりで、珍しく真赤なニットのスーツを着ていた。あなたと違ってね、私はもう残り時間が少ないんだから、どうでもいい男とは二人きりで食事をするのもイヤなのよ。そういって、ふうっとため息をついた。

彼女は私より十歳年上だった。しかし、残り時間が少ないと焦る気持は私にもよくわかった。

そうですよわ。なにもその男とべソドに飛び込むわけじゃなくっても、いざとなったら飛び込んでもいいと思えるくらいの男じゃなかったら、この忙しいのに時間を割いて食事なんかする必要ないですよ。

私がそう答えると、彼女はふふっと笑った。でもねぇ、セクシーな男ってなかなかいないのよ。ペッドに飛び込んでもいい男…。なぜか、自分の長い指を見ながら彼女はつぶやいた。

それから森さんは、ドキドキするような男との出逢いが、年を追うごとに少なくなっているといった.私はなに気なく、まあ、一年に一人っていうところですか?と尋ねると、えっと驚いた顔をした。あなた、一年に一人も出てくるの?私はそんなにいないわよという。

私だって、別にそんなにしょっちゅう、胸がドキドキするひとに出逢うわけではない。だが、いつも取り巻きの男性をつれて、芸能人顔負けの派手やかな装いをしている森さんだったら.恋愛のチャンスはいくらでもありそうに見えた。

年齢のせいかもしれないわと、森さんは妙に納得した調子でいった。密かに誰かに恋をしていることはあるけれど、ベッドに飛び込むこととは別なのだと説明してくれた。

残念ながら、今まで、私はその意味があまりよく理解できなかった.だが、ようやく最近、少しわかりかけている。

つまり、上田のおばあちゃんが最後に見せたあの表情は、恋愛なんて漠然としたものではなくて、はっきりと性欲といえるものだったのではないだろうか。このごろになってそう思う。

以上の箇所が妙に心に残った。

同じ年代の女性と食事をすることはよくあるのだが、「どうでもいい男が」食事をするには控えめにしなきゃいけないなぁと決意した次第でもあります。

そういうこともあって快楽―更年期からの性を生きるを続けて読みました。予想通り、森瑤子女史との話が書かれており、「怪談」よりも詳細であった。更年期からの性については非常にまじめな問題提起をしてもらったと思う。これは私だけには限らないようで、興味のある方はアマゾンのカスタマーレビューを読んでいただきたい。みな、結構まじめだなと思う。

ということで、私としては、本の終わりのまとめあたり(270頁)にでてくるイキのいい友人英美子さんの話を紹介しておこう。

・・・だが、しかし、それは間違っているというのが恵美子さんの意見である。

更年期の性は奥が深いのよ。あなたみたいに簡単にリタイアしちゃ・たらつまんないじゃない。この先に.まだ何が待っているかわからないのよ」

更年期世代の女性は.”ニユーヨーク”を目指すべし

恵美子さんは、出来の悪い生徒に、授業でもするように更年期の性の豊かさを語ってくれる。

「たとえばさ、十代や二十代の若い頃って、もうアフリカ大陸みたいなものよ。いたるところが熱いのよ。唇から耳たぶ、乳首やクリトリスはもちろん、身体のすべてが感じたでしょ。まあ、言目葉は悪いけど、歩く性器みたいなものよ。だから、今の若い娘たちが書いている小説とか読んでも、ただもうやればいいって感じ。ところが三十代になると東南アジアくらいにはなるわね。全身がビピビ。てわけじゃないけど、とにかく、まだ各地に熱帯ありっていうところ。

相手の男によって感じる部分が違ったりするけども、よい相手に巡り合いさえすれば、三十代は一番性的には燭熟する年代かもしれない。

そして四十代になると、徴妙に変化するのよね。自分の体型の衰えを自覚するわげ。もちろん、エネルギーの枯渇もあるわよ。その半面、生活には余裕が出てくるから、セックスも雰囲気が大切になってくる。その意味では四十代はヨーロッパじゃないかしら。文化の香りが高くて成熟した大人の男と女の関係。ただ往復運動をすればいいっていう野蛮さはないかわりに、ちょっとパワーが落ちるのも確かね。だけどまだまだ美しくて、長い年月の歴史によって女っぷりかあがるのが四十代よ。ちょうどヨーロッパの落ち着いた古都みたいに。

そして、さて五十代なんだけど、ここでシベリアへ行くかそれとニューヨークへ行くか、あなたならどうする?」

そんなことを聞かれても返答に困る。シベリアというのは、いかにも寒々しい。できれば行きたくないと思う。でも、それが五十代の現実なら仕方がない。

「そうよ。残念ながらシベリアへ行った女は山ほどいるわよ。触ったら凍りそうな女になんて男だって手を出さないわよ。足を踏み入れないわよ。でもね、実は私たち五十代の女性はニヨークになるチャンスだってあるのよ。あの街を知っているでしょ?そりゃあ建物ば古い

わ。塵も舞っているしホームレスもいるわよ。でも、東京とは違うのよ。何が違うと思う?東京はこの前の戦争で焼け野原となって、そのあとにただ無計画にピルが立ち並んだ。はっきりいって美しい街じゃないわ。でも、ニューヨーグは五番街なんかの摩天楼を見ていると惚れ惚れするわ。ビルの一つ一つはもう老朽化しているのよ。だけどね手入れがいいのよ。そして住んでる入たちもニューヨーカーであることに誇りを持っている。毅然としているわ。だから古い建物だって、いまだに美的に鑑賞に耐えられるってわけよ。

私たち更年期世代の女姓たちって、あのニューヨーグが持っている知恵や誇り、賢さ、そして悲しいけれど年月を経たための醜さや脆さも全部餅せ持っているんじゃないかしら。私はシベリア送りはごめんだわ。いつまでもエキサイティングなニューヨーグの中心.できればマンハッタンに陣取っていたいわねぇ」

元気な恵美子さんと食事はできそうもないがエールは送ってあげたいところではあります。

 

地上最強の商人

地上最強の商人読みました。図書館で立ち読みしてたら面白そうなので借りたのです。アラビア商人の成功話で、途中まで面白く読んでいたのですが(筋もそれなりによかった)途中で、あれあれと思い始め、半ば過ぎには、いわゆる「成功のハウツー」本だと分かったときには、色あせてしまいました。

ごていねいに、途中からは日記みたいな作りになっており、毎日日記をつけると”必ず成功する”ような体裁になっていました。白けたかな。いわゆる、マーフィーとかナポレオン某の成功メソッド本だったんですね。

アマゾンにリンクを貼ろうと思って本の紹介を読んでびっくり、1万円以上の定価でした。ありがたいようなそうでないような不思議な気持ちになりました。でも、やはり高すぎですね。

著者「オグ・マンディーノ(OG MANDINO)氏は、成功本で有名で、世界20カ国で翻訳され総販売数は2500万部を超えると紹介されています。購入した人の内どのぐらいの人が成功したのでしょうか、興味深いものがあります。

このような成功本は、実は読めば読むほど成功が難しくなると解いた本もあります。超意識 あなたの願いを叶える力 (坂本 政道著)です。成功本を何冊か読んだ人にはお薦めです。求不得苦から救われるかもしれない。

近頃、本屋さんでスピリチュアルの棚を見ると、「引き寄せ」本がかなり見られます。願望を引き寄せて幸せになる方法とかの本ですが、このような願望成就系も、あまり読み過ぎると求不得苦に陥ってしまいがちです。

だいたい、成功てなんでしょう。失敗ってなんでしょう。成功することが幸せなのか、失敗して幸せとかはありえないのか、そこら辺もよく考えてもらいたいところですね。失敗するために生まれてきたという人がいるかもしれない。そうだとすると、その人にとって成功するのはノーサンキューということになります。

先ほど、近所の郵便局にいったら、臓器移植ドナー登録の申請書がおいてましたが、臓器を移植して長生きして幸せなのか不幸せなのか、まずその辺を考えることも必要かと思います。死んで生きるということもあるし、生きて死ぬということもあるのではないでしょうか。それを一律というか、絶対的に生=幸せと固定するととんでもないことになるような気がします。富=幸せと固定するのもそうではないでしょうか。

河合隼雄と中沢新一の対談で(タイトルは忘れた)、ユダヤ人がチベットに修行にいくのだが、チベット僧は彼ら(ユダヤ人)を評して、確かに頭は切れるのだが、わかっちゃいないんだよな・・・というくだりがあって印象的だったのですが、多分それはそうなんでしょう。ユダヤといえば、金融界では別格で、世界金融の覇者ではあるのですが、最近の金融情勢を鑑みると、わかっちゃいないんじゃないかと思い始めざるを得ません。

先ほど紹介した超意識 あなたの願いを叶える力には、東北帝国大学で哲学講師を勤めたドイツ刷学者オイゲン・ヘリゲル(1884-1955)の著書、「日本の弓術 (岩波文庫)」について語られています。西洋と東洋の差がある意味、わかりやすく描かれています。日本がわからないオイゲンが最後の最後に分からせられたという内容で、薄っぺらい本なのですが、とても面白く、はまってしまったことがあります。お薦めです。

ミッション: 8ミニッツ

ミッション: 8ミニッツ、あっという間に見終わりました。面白かったなあ。

「乗客全員死亡」のシカゴ列車爆破事件ー 犠牲者の〈死ぬ8分前〉に入り込み、爆破を阻止せよ!だがその極秘ミッションには、禁断の真実が隠されていた…?英語原題「Source Code」(2011)

英語版を英語字幕で鑑賞したので、詳細はわからない?が、だいたいは分かりました。

ある程度のテクノロジーの説明はあったのですが、簡単にいうと、自分の体を抜け出て他人の体に意識が入り込むわけです。その時間は8分間。シカゴで列車が爆破された。その爆破までの8分間に他人の体に意識が入り込むことができる。それは、無限というわけには行かないが、ある程度なんどでもやり直すことができる。

というわけで、主人公は、爆発する列車の他人に意識を移して、なんども死ぬわけです。もちろん、ただ死ぬわけではなく、死ぬまでの間に、犯人を割り出そうとするわけです。

幽体離脱や輪廻転生をハリウッド映画にするとこうなるのではないでしょうか。そして、ラストのあ・ら・らというようなエンディングは良い。アメリカ映画はハッピーエンドじゃなくちゃ。

女優のミシェル・モナハン、ヴェラ・ファーミガがよかったなぁ。特にミシェル・モナハンとは何回もの同じ出会いがあるのだが、こちら(主人公側)は同じではなく学習効果を伴っているわけで態度も異なってくる。そしてこの主人公の態度にミシェルの対応も変化してくるわけなのだが、だんだん魅力的になってくるんだよね。見慣れてくるということもあるが、こちらの心理に反応してくるのも大きいだろうなあ。

黒住教の「立ち向かう人の心は鏡なり、己が姿を映してや見ん」というところでしょうか。人を変えるのではなく、自分を変えることが世界を変えることに直結するということかな。人を変えるのは大変、というか不可能といってもよい。それよりも、自分を変えることの方がより確実(とはいえ、やはり難しいのも事実)ではあると思う。そして、その変化に鏡は応えてくれるわけです。

話は、若干代わりますが、列車などで同席になった方とおしゃべりなんかしたいときは、出会い頭15-20秒以内に話しかけることらしいです。統計的には成功率が非常に高くなるとのこと。以前、実践してみたことがありますが、男女を問わずほとんどいい結果となりました。

脱線しましたが、これからはこの映画のように、幽体離脱や輪廻転生がテクノロジーで実用化される時代がくるかもしれない、などと思いつつ・・・。