え!社会面トップにこんに大きく掲載?! 小沢元代表の裁判

先日、報道新聞スペースのあまりの小ささにびっくりしたのだが(日本経済新聞ではたったこれだけ?!前田元検事「捜査の進め方に問題」 小沢元代表公判で証言)、今回は逆に、あまりの掲載スペースの大きさにびっくりしてしまった。しかも社会面のトップ扱い。以下の記事だ。

小沢元代表どう説明 10日から被告人質問

2012/1/9 0:44

資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡り政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で強制起訴された民主党元代表の小沢一郎被告(69)の公判は、10日から2日間の被告人質問が行われる。これまでの公判では、虚偽記入を巡る元秘書の証言が揺らぐ一方、事実と異なる捜査報告書の存在も判明、公判の行方は予断を許さない。事件について詳細な説明を拒んできた元代表本人がどう供述するか注目される。

被告人質問の焦点の一つは、陸山会が2004年に東京都世田谷区に購入した土地にからんで元代表が自ら用意した4億円についてどう説明するかだ。

元代表側の原資についての説明は、これまで「政治資金」「定期預金を担保にした銀行融資」「父親から相続した遺産」と変遷。昨年10月の初公判後の記者会見では「原資は私のお金。詳しく聞きたければ検察に聞いてください」とそれ以上の説明を拒んだ。

政治資金収支報告書に記載されている「4億円」の意味を巡っては、元代表側は、元代表が用意した4億円を担保にした同額の「銀行融資」と説明。元代表からの4億円は「預かり金」で記載の必要はなく、虚偽記入にはあたらないと主張する。これに対し、検察官役の指定弁護士は「4億円は元代表からの『借入金』で、記載する必要がある。融資は『表に出せない資金』を隠すための工作」と指摘する。

収支報告書を作成した元秘書の石川知裕衆院議員(38)=同罪で一審有罪、控訴=は「4億円」について、自らの公判では「借入金」と説明していたが、元代表公判の証人尋問では「(借入金か、銀行融資か)どちらかと言われると困る」と述べ証言を修正した格好となった。

ただ、元代表の弁護士は「証言の変化は大きな問題ではない」と話す。

収支報告書の虚偽記入を巡り、元代表が元秘書との共謀について何を語るかは最大の焦点だ。初公判で「共謀した事実は断じてない」と主張した元代表だが、石川議員が元代表に「(虚偽記入を)報告し、了承を得た」と認めた捜査段階の供述調書の信用性は公判のポイントである状況は変わらない。

元代表公判のこれまでの証人尋問で、石川議員は「(自身の)再逮捕への恐れから検事に迎合した。供述調書の内容は事実ではない」と任意性を否定。同議員を取り調べた田代政弘検事(44)の証人尋問では、強制起訴の根拠になったとされる捜査報告書に事実と異なる内容が記載されていたことも明らかになった。

報告書には、石川議員が「報告・了承」を認める供述を維持した理由について「検事に『ウソをついたら選挙民を裏切ることになる』と言われたのが効いた」と述べたと記載。しかし、石川議員による取り調べ状況の「隠し録音」に同様のやり取りはなく、元代表側は昨年末、「起訴議決は無効」として東京地裁に公訴棄却を申し立てた。

検察官役の指定弁護士の1人は「議決の有効性に問題はないだろうが、裁判所の検察捜査に対する不信感は、元秘書の公判よりも強まった可能性も考慮し、終盤の立証を終えたい」と話している。

記事の内容も新しいものではなく、なんで今更!?というようなものだ。下に写真を掲載するので、見て欲しい。

左側に社会面全体、右に記事全体を写したものだが。左側を見ると、大事な社会行事「成人の日」の記事、次にオウム平田容疑者関連、そして小沢裁判となっている。どうみても小沢裁判の記事は不自然だ。

右の小沢裁判記事全体を観ると、記事最上部に白抜きで「4億円の原資は元秘書との共謀」右側に黒字で大きく「小沢元代表、どう説明」そして中ほどに「明日から被告人質問」と見出しが並ぶ。

もう一度左側の社会面全体を見渡してもらうとよくわかるが、下段にある企業広告よりも目立つ。つまり、社会的喚起だけが目的の、ビジュアル重視のプロパガンダ記事なのだ。ただただ、小沢元代表を蹴落とすためだけの記事といっても過言ではないとおもうのだがどうだろうか?

以上、3.11を契機に、でたらめな報道記事の現実に目覚めてしまった私の意見と疑問でした。

日本経済新聞ではたったこれだけ?!前田元検事「捜査の進め方に問題」 小沢元代表公判で証言

12月17日は、忘年会で夜遅く帰宅してからインターネットをチェック。ゲンダイネットの下記記事をよんでびっくり。

<これは莫大な税金ムダ遣いの典型だ>

青のジャージーに安っぽい蛍光色のフリースを羽織り、刑務官に付き添われて出廷した前田元検事。丸刈りの頭髪には白髪が交じり、「大阪特捜のエース」がウソみたいに変わり果てた姿だった。それ以上に法廷を驚かせたのは、前田が昨年1月、陸山会事件で大久保秘書を取り調べるため、大阪から東京地検に応援に呼ばれたときの状況だ。前田は着任早々、事件を担当する木村匡良主任検事(49)からこう言われたという。
「これは特捜部と小沢一郎の全面戦争だ! 小沢をあげられなければ我々の負けだ!」
 まるで昔の軍人かヤクザの親分のセリフだが、ここに小沢捜査の本質が凝縮されている。「ジャマな小沢は必ず抹殺する」――。そういう決意表明なのだ。何が何でも小沢を逮捕するという予想通りのシナリオが最初からあったのだ。
 16日の前田証言がそれを裏付けてもいた。当時の特捜部幹部は水谷建設などのゼネコン企業から小沢サイドへの裏献金を洗い出すことに血眼になっていた。しかし、現場の検事がいくらゼネコン担当者や下請け業者から聴取しても裏金の存在が出てこない。「当時の雰囲気を言うと、現場は厭戦ムードでした」と前田はこう証言を続けた。
「陸山会事件を積極的に小沢さん(立件)までつなげたがっていたのは、当時の佐久間特捜部長と木村主任検事、大鶴次席検事ら一部の幹部でした。次の(大林)検事総長(当時、東京高検検事長)も乗り気ではありませんでした。それでも(部長らは)1億や2億、場合によっては4億円を出してこいと(現場に)言ってくるのです。私は佐久間部長に、想定しているスジ(ストーリー)を聞いてみました。夢みたいな話、妄想を語られました。私は率直に『裏献金は難しい』と言いました。ほかの検事も『無理』と言っていました」
 一部の幹部が、消極的な部下のシリを叩き、ありもしない「裏金1億円」ストーリーをデッチ上げる。組織が狂気に向かって突っ走る、恐るべき姿が目に浮かぶようだ。

<特捜部は検察審査会にも不利な証拠を隠した>

もちろん、エラソーに証言する前田本人も、村木元厚労省局長の冤罪事件で証拠を改ざんし、逮捕されたデタラメ検事、いわば同じ穴のムジナである。この日も、自分が作成した大久保調書の正当性はシャーシャーと主張し続けたが、そんな前田でさえ、驚き呆れるほどの東京地検特捜部の結論ありき捜査だったのだ。
 午後になると、前田はフリースを脱いで、ますますヒートアップした。さながら独演会で、「検察が検察審に提出したもので証拠になっていないものがある。石川(知裕)議員の調書には問題があったんじゃないですか。弁護士からクレームがバンバンあった印象があります」「ゼネコンや下請けの捜査員を増やしたのに調書がないでしょう? 裏金を渡しているという検察の想定と違う取り調べ内容は証拠化しないんですよ」などと、恐るべきことを次々と暴露していった。これだと、どんな事件もデッチ上げられ、誰でも犯人にされてしまう。あっちこっちで村木事件がつくられているのだ。
 そんな一方的な検察資料をもとに、検察審査会の一般人11人は、小沢不起訴を「不当」と議決し、現在の小沢裁判となっているのだから、恐ろしい。ムチャクチャだ。
 そして、冒頭の「私が裁判官なら無罪と判決を書く」となったのだが、小沢裁判を傍聴し続けているジャーナリストの江川紹子氏が言う。
「最大の問題は、検察が証拠を隠したり調書を作らなかったために、検察審査会に正確な情報が伝わらず、正しい議決に結びつかなかった可能性があることです。もちろん、国民の判断を誤らせてきた新聞やTVメディアの責任も重大です」
 前日の公判では証人台に立った田代政弘検事(44)の証言が問題になった。小沢強制起訴の最大の根拠である石川議員を再聴取した際の捜査報告書を、以前の“記憶”とゴチャ混ぜにして捏造していたことが明らかになった。検察と一体になって小沢叩きを展開した読売新聞までが、1面トップで「検事報告に虚偽」「有罪立証にダメージ」と書かざるを得ない非常事態になってきた。もはや勝負ありだ。
 検察のデッチ上げ体質、証拠隠しはバレバレである。この先いくら小沢裁判を続けたところで、「無罪」は動かなくなった。いくら「推認」好きの裁判長だとしても、小沢をクロにすることは無理だ。それならサッサと裁判を中止すべきだ。こんな茶番裁判に莫大な税金を使い、小沢一郎を幽閉して何の意味があるのか。百害あって一利なしだ。

17日はいつものように新聞やテレビを見ていたと思ったのだがと思いつつ、日本経済新聞を再チェック。一面も二面も三面にも記事がない、社会面も見たのだが・・・とおもったら見つけました。小さい!!・・・、見落としていました。たったこれだけ?

前田元検事「捜査の進め方に問題」 小沢元代表公判で証言
2011/12/16 12:06
 資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡り政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で強制起訴された民主党元代表、小沢一郎被告(69)の第10回公判が16日、東京地裁(大善文男裁判長)であり、前田恒彦元検事(44)=証拠隠滅罪で実刑確定、服役中=が証人として出廷した。

担当した大久保隆規元秘書(50)=同罪で一審有罪、控訴=の取り調べについて、検察官役の指定弁護士の主尋問に「(大久保元秘書が虚偽記入への関与を認めた)取り調べに問題はなく、元秘書は弁護士に相談した上で署名に応じた」と説明。一方で、陸山会事件の背景にゼネコンからの裏献金があるとする当時の東京地検特捜部の見立てについて「幹部の妄想だと思った。捜査の方法にも問題があった」と批判した。

前田元検事は大阪地検特捜部に在籍していた昨年1月、応援として東京に派遣され、逮捕後の大久保元秘書の取り調べを担当。この日の証人尋問で「着任初日に主任検事から『この件は特捜部と小沢との全面戦争。小沢を挙げられなければ特捜部の負けだ』と言われた」と明かした。

前田元検事は、大久保元秘書が石川知裕衆院議員(38)=同=との共謀関係を認めた供述調書など5通を作成。大久保元秘書は第5回公判で、前田元検事に「石川議員が虚偽記入を報告したと認めている」と言われ、「事実でない調書の署名に応じた」と証言。弁護側は、一方が自白したと真実に反する内容をもう一方に告げ署名させる「切り違え尋問」による調書で、任意性がないと主張している。

大久保元秘書らの公判では、前田元検事の作成した供述調書について、検察側が証拠請求を撤回。前田元検事の証人尋問も行われなかった。この日、法廷に姿を見せた前田元検事は証人席に座ると、正面を見据えながら、指定弁護士の尋問に早口で応じた。

都合の悪い記事はこうやって目に触れないようにさせて、記憶の彼方に追いやられていくのかといまさらながら思いました。

ジャーナリストの江川紹子氏、「国民の判断を誤らせてきた新聞やTVメディアの責任も重大です」とは同感だ。なによりも、「検察と一体になって小沢叩きを展開した読売新聞までが、1面トップで「検事報告に虚偽」「有罪立証にダメージ」と書かざるを得ない非常事態になってきた。」のにもかかわらず、日本経済新聞の記事のこの小ささには驚きました。読売新聞より日本経済新聞の方がこの手の格が上だったのがショックだなあ。

 

由紀さおり & ピンク・マルティーニ 「1969」年の日本のヒット曲が大ヒット

歌手の由紀さおりさんと、アメリカ・オレゴン州のジャズ・オーケストラ「ピンク・マルティーニ」によるコラボレーション・アルバム『1969』が、日本の歌謡曲でiTunes全米ジャズチャートで1位を獲得し、話題となっている。

EMIミュージック・ジャパンによると、由紀さおりさんは、先月17日ロンドン「ロイヤル・アルバート・ホール」でアメリカ・オレゴン州のジャズ・オーケストラ「ピンク・マルティーニ」とのコンサートを大盛況のうちに終了させた。

この日、「BBCコンサート・オーケストラ」も迎えての大舞台披露した「夜明けのスキャット」、「ブルー・ライト・ヨコハマ」、「さらば夏の日」、「夕月」、「マシュケナダ」を収録したアルバム『1969』は、由紀さおりさんが「夜明けのスキャット」でデビューした1969年の世界のヒット曲を集めたコラボレーション・アルバム。ピンク・マルティーニが由紀さおりさんという日本のシンガーと組んだという話題性、由紀さおりさんの美しい日本語の歌唱と独特のアレンジのコラボレーションが話題となり、急きょ海外での発売が決定した。

1曲以外は全て日本語詞で歌われたこのアルバム『1969』が、現在、EMIミュージックを中心に世界20カ国以上でCD発売とデジタル配信が始まり、各国で大きな反響を呼んでいる。

11月1日にiTunesでの配信がスタートしたUSでは、11月2日付ジャズ・チャートで1位を獲得。日本の歌謡曲のカバーが、US以外の各国でも、カナダのiTunesチャート「ワールドミュージック」で1位など、様々なカテゴリーでランキング上位に登場し、話題は広がる一方となっている。

CDも、10月10日に発売されたギリシャでは「IFPIアルバムチャート」6位獲得(2011/43週)、シンガポール「HMVインターナショナルチャート」18位(10/31付)など、パッケージでも話題を呼んでいる。

世界各国での反響に対し、スタッフは、『1969』は素晴らしい作品と確信していたものの、発売直後から世界各国のチャートを賑わすことまでは想定外だったという。また、『上を向いて歩こう』(SUKIYAKI)のリリースから50年という節目の年である2011年に由紀さおり、そして、日本の歌謡曲が新たに世界の歌謡曲として、時空を超えて、羽ばたこうとしていることに感慨を覚えているという。

11月7日には、USで「1969」がCD発売された。12月には、由紀さおりさんがロイヤル・アルバート・ホールに続き「ピンク・マルティーニ」の全米公演に参加することも決定している。

http://www.zaikei.co.jp/article/20111110/86244.html

 

このニュースというかアルバムのすごいところは、そのタイトル「1969」だと思う。1969年の日本のヒット曲集という意味なのだが、すごいですよね。つまり、たった一年間のヒット曲集ということです。

では、翌年はどうなの「1970」?。さらに「1980」は?というのが背景にしっかり組み込まれているわけで、場合によっては続々とアルバムが何十枚とできてしまう可能性もあるわけです。

そして、日本のヒット曲ということは、日本国民の嗜好性というか、そういった気質に対する評価にもなるわけで、先の大震災に対する日本人の行動が世界的に賞賛されたことにも関係してきそうな気配が感じられます。「日本の歌謡曲が新たに世界の歌謡曲として、時空を超えて、羽ばたこうとしている」ということのみならず、日本の「大衆」文化などへの注目がさらに加速していくのかもしれません。

ちなみに、アマゾン1969で、収録曲の試聴が可能です。いい曲ばかりですね。youtubeでは「pink martini saori yuki」で検索するとぞろぞろ出てきます。お楽しみください。

 

スティーブ・ジョブズ劇場はドラマチックに展開し、今幕が下りた

パソコン黎明期のチャレンジャーでした。当時はおもちゃ扱いされていたパソコンを、実用に耐えるマシン、マッキントッシュに創り上げ、今日のパソコン時代を切り開きました。

マッキントッシュは成功を治め、その時代のコンピュータの覇者、IBMを震撼させます。時間のないIBMはただマックに追いつきたいがため、オープン規格でIBMパソコンをでっちあげるのですが、これが大成功を収めてマックの成功をぶんどることになります。

成功を収めたIBMですが、まだまだパソコンを正確に評価することはせずに、OSなどは下請けの弱小メーカーのマイクロソフトにあずけっぱなしにし続けました。マイクロソフトは、IBMの隙に乗じて、正当なIBMのOSであるos2をそこそこに開発しつつ、windowsをつくりあげて、IBMパソコンの果実をいただき、頂点を極めることになります。

現在のスマートフォン/タブレットパソコンの状況は、マッキントッシュが瓦解していく直前にそっくりです。当時のIBM vs. マッキントッシュがちょうど アンドロイド vs アイフォンにダブって見えます。スティーブ・ジョブズにとっても、前回の轍を踏まないことが、唯一の気がかりではあったでしょうね。

スティーブ・ジョブズ死亡に関しては、連日報道されておりますが、その中で秀逸だと思った記事をご紹介します。最後の〆が良いですね。

2011/10/6 10:06

日本経済新聞/ビジネスリーダートップ > コンフィデンシャル > スペシャルリポート > 記事

米アップルはスティーブ・ジョブズ会長が5日死去したと発表した

2007年6月29日午後6時過ぎ、米シリコンバレー。スティーブ・ジョブズ氏はローリーン夫人とともに自宅そばのアップル直営店を訪れた。店内はこの日発売された多機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」を手に興奮する人々であふれている。ほどなく歓声が上がった。「スティーブがいるぞ」。拍手が起こり、カメラが取り囲んだ。

常にスポットライトを浴びる姿は、経営者というより、ギターをコンピューターに持ちかえたロックスターだった。ショーアップされた製品発表会は有名だが、単に口八丁手八丁のセールスマンだったわけではない。切れ味のいいプレゼンも、忍耐強く作り込んだ自信作があってこそだった。

「もし今日が人生最後の日なら、今日予定していることを本当にやりたいか」。毎朝、鏡に映る自分に問いかけた。健康不安に悩んだここ数年は時間を無駄にできないとの思いが強かったに違いない。晩年の代表作となったiPhoneの開発を社内で宣言したのは04年半ば。膵臓(すいぞう)がんが見つかり手術を受けたころだ。

本人は技術者ではない。才能のあるエンジニアを集め、時にむちゃな注文を出しながら製品の完成度を高めるのがジョブズ流。「何がほしいか考えるのは消費者の仕事ではない」と市場調査はあてにしなかった。自分がほしいかどうか。自らの感性を判断基準とした。

特にこだわったのは製品の美しさだ。携帯電話の表面に並ぶ数字や文字の操作キーも、ジョブズ氏の目には醜いブツブツとしか映らなかった。iPhoneがキーがないタッチパネル操作となったのも審美眼の結果だ。

先端的なテクノロジーをクールなファッションに仕立てて人々を熱狂させ、高性能コンピューターをポケットに入れて持ち歩く時代を先導した。パソコン用基本ソフト(OS)を標準化しIT(情報技術)大衆化の土台を作ったのはマイクロソフトのビル・ゲイツ会長だったが、利用者のすそ野を広げたのはジョブズ氏の功績だ。「スティーブのセンスの良さは驚異的だ」。ゲイツ氏さえ嫉妬した。

時代の先駆者だった米アップルのジョブズ氏の歩みを映像で振り返る

何事も細部まで自分で確かめないと気の済まない性格。あるときシリコンバレーの和食店で食事をするジョブズ氏を見かけた。帰り際、連れを待たせて勘定書をじっくり吟味する後ろ姿が印象的だった。

完璧主義は会社でも発揮された。無謀な取り組みとアナリストに酷評された直営店の展開も、ブランドイメージを左右する製品販売を他人任せにできないと押し切った。高い集客力の秘訣を尋ねると、「顧客にすばらしい体験を提供できている」と満足そうだった。株主総会ではどの幹部よりも分かりやすく、面白く事業内容を株主に説明した。

使いやすい機器とインターネットを融合した事業モデルで築いたビジネスの生態系は巨大だ。影響力はITにとどまらず、メディアや家電、ゲーム業界にも及ぶ。高収益にあやかろうと、多くの企業がアップルをまねた製品を出した。

ジョブズ氏の巧みな交渉術もアップルの武器だった。

経営危機に直面したときは「世界を良くするため」とライバル関係にあるゲイツ氏を説き伏せ、マイクロソフトとの提携話をまとめた。リンゴの商標を巡り法廷で争ったポール・マッカートニー氏らを口説き、ビートルズ曲のネット配信にも成功した。確かに取材でも、目を見てよどみなく話すジョブズ氏のペースに引き込まれていく感覚があった。

上り下りの激しいジェットコースター人生だった。実の母親は未婚の大学院生で、生まれてすぐ養子に出された。大学は半年で中退。アップル創業で時の人となり当時のレーガン米大統領も絶賛したが、身勝手な振る舞いを問題視するほかの経営陣と対立。自らペプシコから引き抜いたジョン・スカリー社長によって、会社から追放された。30歳だった。

アニメ「トイ・ストーリー」で知られる映画会社ピクサーの設立などを経て、12年後に最高経営責任者(CEO)としてアップルに復帰してからは携帯音楽プレーヤー「iPod」に始まるヒットの連続。破綻寸前だった会社を、2010年には世界で最も時価総額の大きいIT企業に押し上げた。だが、間もなく再び病に倒れ休養生活に入り、11年8月24日にCEOを辞任していた。

ストックオプションの不正付与問題で謝罪を迫られ、自身の健康や後継者計画について情報開示が足りないと批判も受けた。必ずしも教科書的ではない手法のジョブズ氏が産業史に残る企業再生を果たしたことは、イノベーション(革新)を生む経営とは何かを改めて問う材料になるだろう。

若い世代に「すばらしい仕事をなし遂げるには、それを愛することだ」と助言していた。本人にとって愛の対象は終生アップルだった。ジョブズ劇場はドラマチックに展開し、今、幕が下りた。(村山恵一)

 

日本の電気料金はなぜに高いのか

2011/9/24、日本経済新聞のデータ解説の写真をそのまま掲載してみよう。

原発ゼロなら1.7倍にもなるとのことであるが、問題は原発があっても高いということだ。

記事の内容は原発をゼロにすると高くなると言っているのだが、理屈のようで理屈になっていない。むしろ、原発があるから高くなった。今後も原発がある限り高く成り続ける。そう言い切ってみると、問題が見えてくるのではないか。

日本経済新聞の本日の一面、特集記事はいい切り口を見せている。

(エネルギーを問う)「言い値」追認、国にツケ 値上げ適否判断できず 第2部 電力ブラックボックス(1)

2011/9/24付日本経済新聞 朝刊

電力産業には利用者や規制当局の目が届かないブラックボックスがいくつもある。民と官の線引きが曖昧で、料金水準や需給、資金調達などの懸案も実情を見定めにくい。その閉鎖性が課題解決を妨げ、不信感を生む。

コスト構造批判

「原子力発電所の稼働率が低いままでは収益の悪化は避けられない」。東京電力社長の西沢俊夫(60)は20日、同社の経営内容を調査する経営・財務調査委員会(委員長・下河辺和彦=63)に出席し、電気料金引き上げの必要性をにじませた。

福島第1原発の事故以降、東電は液化天然ガス(LNG)などの火力発電を増強。今年度は燃料の調達費が7千億円も増える。政府の資金援助は賠償の支払いに限られ、燃料費には回せない。

だが、供給不安も収まらない中、米韓の2倍以上の料金がさらに上がれば、国内の製造業や家計への影響は大きい。社員の約1割削減などの合理化にも「限界がある」(東電幹部)というのは本当だろうか。

「値上げの回避は可能」。経済産業省が作成したとされる文書が霞が関で出回っている。電力各社が抱える原価変動調整積立金などの利益剰余金を充てれば、追加の燃料コストを賄えるという分析だ。

これにはただし書きがある。「当面」、そして「東電を除く」。東電は利益剰余金がすでにマイナス。比較的潤沢な中部電力も3年半で積立金が底をつく。一時しのぎの策だが、こんな文書が出回るのも「電力会社のコスト構造は甘い」との見方が強いためだ。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査から推計した電力業界の平均年収は2010年度で750万円。全産業の平均を6割上回る。20年前は平均より35%高い程度だったが、国際競争の激化にさらされる他産業が人件費の圧縮を進めた結果、電力の給与水準は相対的に上がった。下河辺も「他業種に比べ人件費が高い」と批判する。

コスト削減が進みにくい原因は「総括原価方式」と呼ぶ料金の決定方式にある。電力供給にかかる費用を積み上げ、一定の利潤を上乗せして料金を決める。値上げの場合、経産相が認可する。

しかし、費用の適正水準を見極めるのは困難だ。「料金改定の勉強に専念してくれ」。経産省の幹部はさきごろ認可を担当する新任課長に命じた。しかし、値上げは約30年ぶり。勉強しようにも省内には「電力会社が申請する“言い値”が正当か判断するノウハウもない」(同省幹部)。

線引き難しく

政策研究大学院大学教授の金本良嗣(61)は「原価とは何か。その線引きが重要だ」とも指摘する。燃料費、人件費など対象となる項目は省令で決まっているが、6日の経営・財務調査委では「業界団体への支出なども従来通り料金に含めていいのか」との疑問が出た。

総括原価方式を採用しているのは、電力の安定供給を重視してきたためだ。1951年以来、地域独占の電力会社が発電から送配電まで一貫して担い、原価を反映した収入を保証されることで十分な供給体制を整備してきた。

その代わりにコストをガラス張りにして国がチェックする制度を整えた。資産規模に応じた利潤を料金に含めることも認め、需要を満たす設備投資をするようにも誘導した。だが、原発事故で供給への信頼は崩れ、原価を適正に判断する機能も失われてしまっていることが明らかになった。

欧米では発電や小売りの段階で参入を自由化しており、競争で料金が決まっていく。日本も大口利用者向けは自由化したが、競争はごく一部でしか働いていない。

独占による割高な料金と事故後の供給不安だけが残り、経済の活力をむしばんでいるのが実情だ。目の前の危機を改革へのバネに、日本の成長を支える仕組みにつくり替える時だ。

いいのは切り口止まりで、記事を読んでいくとなんだかわからなくなってしまうのが、昨今のマスコミの記事や解説である。(1)と書いてあるので、(2)もあるのだろうが、内容はもっとわからなくなってしまうだろう。

要するに、電力料金が高いのは、高い分だけどこかに行っているわけで、それはつまり「利権」分であるというわけだ。どこに行っているかというと、政界、官界、そしてマスコミだろう。原発を持っている自治体などには合法的に潤沢な資金が下りるようになっているし、広告宣伝費は天文学的ともいえる金がマスコミに支払われている(らしい)。

原発を取り巻くそういった関係は、電力コストによって賄われているわけで、つまり、原発があるから電力料金は高くなり、こんごも原発がある限り高くなり続けるのである。

簡単じゃないか…。