「シリーズ週刊現代の記憶第9回」、「田中角栄が逮捕された、あの日、1976.7.27」

今週の週刊現代の巻末は、「シリーズ週刊現代の記憶第9回」として「田中角栄が逮捕された、あの日、1976.7.27」が掲載された。

かつて、アンチ田中角栄だった元米経済紙「フォーブス」アジア太平洋支局長フォーブス氏が、日本の公安に次のようなことを耳打ちされたと語っている。
「・・・政治の裏側はそんなに簡単な話じゃないぞと。たとえば田中派は金に汚くて、岸派は清廉潔白だと言われているけど、まったく正反対なんだと。岸派はアメリカからお金をもらっていたから、国内で調達する必要がなかっただけ…。(まもなく日本が世界を救います ベン&龍10の緊急提言 p43)」

田中は5億円で逮捕されたが、森友は8億円、加計は30億円以上と言われても検察が動く気配は全くと言っていいほどない。権力の味方、検察が脱兎のごとく動くには、権力以上の権力によるものと解せざるを得ないのだろう。
とりあえず、アメリカのポチ化をしておくのが総理大臣の急務ということなのでしょうか。
アメリカに潰された政治家たち2012/9/24発、孫崎 享著」のアマゾンレビュアーは次のように投稿している。

「岸信介は「アメリカ(CIA)に資金を出させながら自主自立路線を進む」というしたたかな政治家であったが、
●在日米軍の見直し
●中国との関係改善
という米の「二つの虎の尾」を踏んだために、米に巧みに誘導された日本国内のマスコミによってデモが扇動され、結果退陣に追い込まれた、と著者は分析している。

そしてその構図は、田中角栄の失脚でも酷似した形で現れる。小沢一郎や鳩山由も、やはり在日米軍・対中関係改善という虎の尾を見事なまでに踏んでいる。
逆に戦後長命政権となった首相は中曽根、小泉にしろ極端な対米追従姿勢を取っていたという点で共通する。
こうしたアメリカの国益によって日本の政治家のみならず官僚やマスコミが巧みにコントロールされている実体が事実であるとしたら、情けない限りである。」
確かに安倍はポチ化しているが・・・。

シェールガス革命の影響

先日のアルジェリアでの日本人人質事件は、アメリカのシェールガス革命が遠因であるともいわれている。自国でエネルギーが賄えるようになったアメリカ合衆国が資源国への軍事力の行使を控えるようになり、軍事バランスが崩れて、紛争が流動化してきたというのだ。

そもそも、「革命」といわれるほどのことなので、予期せぬ事象が生じてくるのは当然なのであろう。そういった意味で、「シェールガス革命」は注目せざるを得ないと思っていた。

今日の日経新聞には須藤繁 帝京平成大学教授による、シェールガス革命の影響(上)、買い手優位、世界で顕著は、よくまとめられていて参考になりました。以下に紹介します。

買い手優位、世界で顕著に

須藤繁 帝京平成大学教授

<ポイント>

○米輸入縮小が響きロシア産ガスがアジアへ

○シェール革命の影響は東アジアで最も顕著

○消費エネルギーの一定量は自分で賄う必要

 昨年1年間で「シェールガス革命」や「シェール層開発」の認知度が大きく高まった。

シェール(頁岩=けつがん)とは、地質学的には泥岩の一種で、その隙間は100万分の1ミリメートル。一方、メタンの分子サイズは1000万分の1ミリメートルで、泥岩の隙間の10分の1の大きさだ。一般にガスはその分子の10倍程度の隙間では移動性に乏しくシェール層内に滞留する。これがシェール層に封じ込められていたシェールガスで、近年米国で本格的に実用化された水平掘りと水圧破砕により、地上に取り出すことが可能となった。

シェールガスの登場は、既存のガス供給国間の利害関係や消費国との関係を根本的に変えたといってよいだろう。シェールガス開発の影響はまず、米国のエネルギー需給に変化をもたらした。

米エネルギー省が昨年7月に発表した2012年版「年次エネルギー見通し」では、05年に60%程度だった石油の純輸入比率が11年には49%に低下したことに加え、35年には36%へとさらに低下する予測が示された。00年前後の年次エネルギー見通しでは20年時点の石油の純輸入比率は60%程度になるとみていたが、シェール層開発が石油自給率の大幅な改善をもたらした。天然ガスに関しても11年の純輸入比率は11%だったが、20年過ぎには需給が均衡し、35年には5%程度の純輸出に転じるとみられている。

国際エネルギー機関(IEA)が昨年11月に発表した「世界エネルギー見通し」でも最大の注目点は米国だ。米国はシェール層開発を主因として、ガスでは15年にロシア、石油では17年にサウジアラビアをそれぞれ上回り、世界最大の生産国になるとみている。

米国のシェール層開発が国際エネルギー情勢に及ぼす影響は既に顕在化している。

1990年代後半に米国はガス需要の増加を北米での供給増だけでは充足できず、2000年代初めには消費量の約10%を輸入で賄うに至った。その時点では将来の需要を充足するには大量の液化天然ガス(LNG)輸入が不可避とみられ、全米各地にLNG輸入ターミナルの建設が計画された。前述のエネルギー年次見通しの04年版でも、米国の25年のLNG輸入量は1億トン以上に膨らむと見積もられていた。しかしながら、その後本格化したシェールガス生産により、これらの建設計画の大方は雲散霧消した。

その一方で、ガス生産国(カタール、ナイジェリア、トリニダード・トバゴ、赤道ギニア)は、米国のLNG輸入を当て込んで生産能力を大幅に拡張した。しかし米国との契約に至らなかったため、大量のLNGを長期契約以外の形態で取引せざるを得なくなった。米国に持ち込めなくなったLNGはスポット(随時取引)市場に流れ、主に欧州市場で売買されている。

シェールガス開発の本格化と軌を一にして起きたことは、LNG取引の買い手市場化である。中でも欧州のガス・電力会社がロシアからの長期契約ガスの引き取りをやめて、スポットLNGに切り替えたことが象徴的だ。こうした玉突き現象の結果、最も重要なのは、ロシア産ガスの行き先が欧州からアジアにシフトしつつあることである。

一方、中国は06年にLNG輸入を開始した。そして09年末にはトルクメニスタンから天然ガスの輸入を開始し、11年11月には600億立方メートルまで増量することで合意した。中国の天然ガス需要は90年の147億立方メートルから、00年には245億立方メートル、10年には1076億立方メートルに増えている。さらに中国政府によれば、20年には3800億立方メートルに増えるとみられている。

中国はこれまでも環境対策面から天然ガスの導入を重点的に進めており、これからもその方向性は変わらない。20年のガス需要の内訳に関しては、在来型国内天然ガス生産が2000億立方メートル、シェールガスが1000億立方メートル、コールベッドメタン(石炭層に含まれる天然ガス)とLNG輸入合わせて800億立方メートルという絵が描かれている。

11年4月に米エネルギー省がまとめたリポートによれば、中国のシェールガス資源量(回収可能量)は、世界最大の36兆立方メートルに達する。第2位は米国の24兆立方メートル、第3位はアルゼンチンの22兆立方メートルで、以下メキシコ、南アフリカ、オーストラリア、カナダの順である。中国のシェールガス開発は世界のエネルギー需給のみならず、地球温暖化対策の方向性に大きな影響をもたらす。

シェールガス革命がもたらした地殻変動が最も顕著で、今後さらに先鋭化するとみられるのが東アジアである。東アジアには今3つの大きなガス供給の波が押し寄せようとしている。ロシア産ガスの東方シフト、シェールガス開発を背景とした北米産LNGの流入、中国のシェールガス国内開発の3つである。これらに日本のメタンハイドレート(海底の天然ガス資源)開発が加わり、2020年代にはこの4つの大きな流れが均衡点を模索することになると予想される。

このうち北米産LNGに関しては、今月6日に東京電力は三菱商事と三井物産を通じて年間80万トンを17年から輸入する計画を発表した。輸入のみならず、LNGプロジェクトの権益確保も進んでおり、中部電力・大阪ガス連合、三井物産・三菱商事連合、住友商事・東京ガス連合の3プロジェクトは、合計で最大輸出能力3000万トンのLNGプロジェクトに参画している。

こうした大きな流れの中で、今後日本が目指すべきは国際LNG価格体系の是正である。日本の天然ガスの調達コストは12年9月には、100万BTU(英国熱量単位)あたり単価で米国の天然ガス指標価格(ヘンリーハブ)の6倍に達した(図参照)。その後はやや沈静化しているものの、エネルギー輸入金額の増加は貿易収支悪化の一因となっている。

日本のLNGの調達コストが高い理由の一つは、天然ガスパイプライン網が未整備であることだ。もう一つは、量の確保を優先した長期契約を採用していることである。同契約では原油価格連動方式が採用されており、シェールガス革命によるガス価格低下の影響を享受できない。

LNG取引の決済価格には今日、合理的な価格体系の再構築が求められている。そうした中で、韓国は米国産LNGを基地の出口で買う方向で交渉している。その場合、取引価格は米国の市場価格に液化コストを上乗せする形で決められる。結果的に、韓国の北米産LNG導入が東アジア向けLNG価格体系見直しの契機となる可能性が高い。

前述した東アジアにおける4つの大きな流れの均衡点を模索するにあたっては、日本が自前資源を持つか否かにより、その地政学的意味は大きく変わる。北米産LNGの輸入確保はロシアに対するけん制球となり、ロシア産ガスの輸入は中東・アジアの既存LNG供給者に対して大きな価格是正圧力となる。そして何より日本がガス価格交渉で一定の発言力を確保するには、需要全体の10%でも自前の資源を持つことが必要だ。

エネルギーベストミックスは結果における絶妙なバランスの実現ではなく、消費するエネルギーの一定量についてはあらゆる手段を講じて自分で賄うという戦略意思に関わる問題にほかならない。

日本は天然ガス調達の選択肢が少なくないことを十分に認識し、かつそうした立場を強化するためにも、エネルギー自給率の改善をもたらすメタンハイドレートの開発を確実に進めることが重要だ。今年1月28日、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は地球深部探査船「ちきゅう」を用いて、愛知県渥美半島沖で海洋産出実証試験に着手した。同事業では準備作業終了後、メタンハイドレート分解によるガス生産実験が実施される。着実な成果が上がることを期待したい。

すどう・しげる 50年生まれ。中央大卒。専門は石油産業論

続いて、同じく日本経済新聞2013/2/7の記事。

シェール革命、世界の構図変える可能性 米の影響力一段と マネーの流れ・産業競争力・安全保障 日本、安定調達に生かせ

2013/2/7付

シェールガスと呼ぶ新型資源の登場が世界に「革命」を起こしている。大資源国としての米国の台頭はエネルギー需給だけでなく、マネーの流れや産業競争力、安全保障の構図も変える可能性を秘める。エネルギー資源を輸入に頼る日本はこの変化に向き合い、安定調達に生かしていかなければならない。(1面参照)

最大の生産国に

国際エネルギー機関(IEA)は米国が2015年に天然ガスでロシアを、17年に原油でサウジアラビアを抜き、世界最大の生産国になるとの見通しをまとめた。シェールガスやシェールオイルと呼ぶ新型資源の生産が急増しているためだ。

米国は世界最大の原油・ガス消費国だ。原油消費量の4割超、天然ガスの1割弱を輸入している。これが不要になり輸出も可能になるという。

06年に単位あたり9ドルを超えた米国の天然ガス価格は現在3ドル前後。ダウ・ケミカルやエクソンモービルは安いガスを原料に使う石油化学工場の建設を決め、製鉄所の新設計画も進む。米国の製造業はエネルギーコストの低下をてこに復権の道筋をつけつつある。

米国の「エネルギー自立」は貿易収支を大きく改善する。中東に依存していた原油輸入がいらなくなれば、中東の動乱に備えた国防費の軽減につながるとの見方もある。

一方、日本は世界最大の液化天然ガス(LNG)輸入国だ。原子力発電を代替する火力発電用の需要は急増し、12年の輸入量は前年比11%増の8730万トン。加えて欧米と違い、原油価格に連動して決まる日本のLNG価格は米国の天然ガス価格に比べ約5倍高い。

発電燃料費の増大は年間3兆円の国富流出を招いている。米国産の割安なガスを使うLNGを輸入できれば、「価格は下がる可能性がある」(日本エネルギー経済研究所の小山堅首席研究員)。

東電400億円投資

東京電力は6日、三菱商事や三井物産を通じて米国産LNGを輸入する計画を発表した。これ以外からも割安なLNGを確保する交渉を進め、10年代後半をめどに年200万トンを調達する。受け入れに向けてタンク新設などに400億円を投じる。

現在の価格水準が維持されれば、東電は既存契約より約3割安くLNGを調達でき、年500億円程度の燃料費圧縮につながるという。シェール革命を利用し、割高なLNG取引に風穴を開けることが重要だ。

ただ、シェールガスがすべての問題を解決するわけではない。IEAのチーフエコノミスト、ファティ・ビロル氏は「天然ガスの黄金時代が軌道に乗るには二つの課題がある」と指摘する。

一つはシェールガスの採掘は水や化学物質を多用し、環境への影響を懸念する声があることだ。欧州には採掘を認めていない国もある。もう一つは、「米国の天然ガスがいつも安いとは限らない」(商社関係者)ことだ。ビロル氏は「ガス価格が5ドルなら石炭のほうが競争力がある」と指摘。米産業界にはLNG輸出に否定的な意見も根強い。

資源の安定調達に重要なのは調達先の分散だ。シェールガスのリスクも織り込みながら新たな調達ルートを開き、既存の調達先との交渉に生かす工夫が欠かせない。

 

(編集委員 松尾博文)

 

イチローインタビュー 日本経済新聞 2013/2/13

本日の日本経済新聞に、イチローのインタビューが掲載されていた。面白かったですね。

ということで、記事を以下に掲載します。

イチロー、40歳にして惑わず ヤンキースでの決意

米国での13年目のシーズンを控え、大リーグ、ヤンキースのイチロー外野手(39、本名・鈴木一朗)が日本経済新聞社のインタビューに応じた。不惑に対する考え、2年目を迎えるヤンキースでの決意を、時に考え込んで言葉を選び、時に身ぶり手ぶりを交えながら語った。

 ■誰かを「思って」戦うチーム

「常に挑戦し続けている」というイチローが選んだ舞台がニューヨークだ。昨夏、電撃的に移籍した名門ヤンキースと改めて2年契約を結んだ。

「ヤンキースでは『勝つこと』が使命であり大前提だ。加えてファンは勝つことだけでなくプロフェッショナルなプレーを見たがっている。これは僕にとってとてつもない力になる」

「あれだけのスーパースターが集まっているにもかかわらず選手のエゴが一切見えてこない。向かう方向が極めてシンプルでとても気持ちの良い環境だ」

しかしヤンキースの「ために」戦うのではない。大切にしているのは「思い」だ。

「『何かのために』は聞こえは良い。でも時に思い上がっているようにも思える。人間関係においても言えることだが、誰かの『ために』やろうとすると厄介な問題になることがある。しかし、誰かを『思い』何かをすることには、見返りを求めることもなく、そこに愛情が存在しているから不幸な結果になることが少ないように思う。昨年の3カ月だけだったが、ヤンキースは『思い』を強く持たせてくれた組織だった」

思いが結実したプレーがある。昨季のア・リーグのプレーオフ地区シリーズ第2戦。敵失で出塁したイチローは4番カノの二塁打で一塁から一気に本塁に突入。ここで「常識」を覆す行動が飛び出した。

「三塁コーチが腕を回している以上行くしかなかった。そのまま突っ込んだら3メートル手前でアウトになることは明白だった」

普通なら、加速してそのまま突っ込むところ、イチローが選んだのは別の方法だった。

「(セーフになる)可能性があるとしたら、スピードを緩めるしかない。(相手のウィータースは)頭のいい捕手なので、予測できない動きをすることでしか可能性は生まれない。相手の頭の中をちょっとした混乱状態に誘導するしかなかった」

捕手のタッチを2度かわし生還。「忍者」と呼ばれた(2012年10月)

ブレーキをかけたイチローは本塁前で腰をひねって捕手のタッチをすり抜け右に回り込む。2度目のタッチもかわしてホームに触れた。「忍者」と言われた本塁突入だった。

「僕の中で印象に残るプレー。単にフィジカルだけではなくて心理の戦いも含んでいた。アウェーだったので(球場で起きたのは)歓声ではなくどよめきだったが、あれは快感だった」

レギュラーが保証されているわけではない。厳しい生存競争に臨む武器はプロフェッショナル意識の高さだ。

「努力をすれば報われると本人が思っているとしたら残念だ。それは自分以外の第三者が思うこと。もっと言うなら本人が努力だと認識しているような努力ではなく、第三者が見ていると努力に見えるが本人にとっては全くそうでない、という状態になくてはならないのではないか」

「子供の時の感覚で楽しくて好きでいたいのならプロになるべきではないだろう。もちろん、違う種類の楽しみややりがいはたくさん生まれるが、プロの世界では楽しい時など瞬間にすぎない。ほとんどはストレスを抱えた時間だ。しかしその『瞬間』のために、ありったけのエネルギーを費やしていく。その中で、人間構築をしていかなくてはならないと考えている」

マリナーズ時代は200本安打という目標を掲げていた。

「実際にそれを目標に掲げていたのは2008年ぐらいまでだと記憶している。その後口にしなくなったのはそれが『達成したい目標』から『達成しなくてはいけない目標』に変化したからだ。続けていくことの難しさを痛感する中でそれまで誰もやっていなかった10年連続200本安打を達成できたことで気持ちに一区切りついた、ということもある」

 ■10の力を7に見せる

大リーグでのプレーも今年で13年目。日本でのプレー年数(9年)を上回っている。メジャーでも数々の記録を打ち立てたイチローの目には日米の野球がどう映るのか。

「米国の野球は『力対力』というイメージがあるがそれはイメージでしかない。力の意味が『能力』であればその通りだと思うが、大体は力は『パワー』と同義語になっているように感じる。とにかく相手の欠点を突いてくる。こちらが克服できなければ永遠にそうしてくるだろう」

文化、習慣の異なる中で勝負の世界に身をおいてきた。意識してきたのは己を貫くことだった。

「米国、南米出身選手の主張は強い。70(の力量)を100に見せて威圧する。僕が大事にしているイメージは全く反対で、100あるが70から80にしかみせない。それで実際には(相手を)ボコボコにする。そんなアプローチの方が楽しいし、見る人も面白いのではないか」

「今はまだ色紙に一言と言われても書けない。大切にする姿勢や哲学はあるが胸を張って一言残せるほどの自分ではない。偉人の言葉を引用する年配の方がいるがあれはダサいと思う。拙い表現でも将来自分の言葉で伝えられたらなと思う。しかし結局、言葉とは『何を言うか』ではなく『誰が言うか』に尽きる。その『誰が』に値する生き方をしたい」

■WBC、命削った勝ち越し打

 レギュラーシーズンだけでも日米通算で1万2000回以上もバッターボックスに入った中で「思い出したくない」という打席がある。2009年の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝、対韓国戦。延長十回2死二、三塁で不振が続いていたイチローが打席に立った。

WBC連覇に導いた決勝打(2009年3月)=共同

「敬遠ならどんなに楽だろうと思った。そんなふうに思ったことは初めてだ。この打席で結果を出せなければ、今までの僕は全て消される、と思った」

「恐怖に震え上がっていた」という中で2連覇を決める中前2点打を放つ。代償も大きく、胃潰瘍を発症。大リーグ入りして初の故障者リスト入りも経験した。

「今後、どんな場面があろうともあの打席以上はないのでは、と想像している。野球をやりながら『命を削る』という意味を初めて知った瞬間だった」

 ■理解苦しむ「定年」

 10月に40歳を迎える。野球界では大きな節目とされる。

「野球界には、40歳で定年みたいな価値観がいまだになぜか残っている。その現状が僕にとってはクエスチョンだ。様々なことが前へ進んだ中で、40歳定年の思考は理解に苦しむ。食生活、住環境、野球をとりまく環境、トレーニングの発達、道具の進歩など、昔とは比較できないほど進んだ。選手寿命だけが進まないと考えるのは、その人たちの思考が止まっているように思えてならない。彼らは僕がこう言うときっとこう言うだろう。『若いくせに生意気だ』」

「個人競技だとしたら、今の状態で引退を考えることはあり得ない。ただ団体競技なのでポジションが限定される。純粋な能力ではなく年齢だけを見て省かれるという理不尽なこととも戦っていくことになる」

常に高いモチベーションを持って挑戦し続けてきた。

「僕はずっとエネルギーを注いできたものに携わっている。最も大変なことは自分が好きでもないことをやらされて、それを好きになれと言われ、結果を求められることではないか。それで壁を感じているならばすばらしい。壁が出てきたということはそこに全力で向かっていく気持ちが存在し、さらに労力を費やしてきた証しだと思う」

ブログなどを活用するアスリートが増える中、改めて情報発信の重要性を感じている。

「エンターテインメントの世界に対し見る側は対象が遠くにいると近づいてほしい、でも近づきすぎることは望まない。親しみを求めながらも憧憬の念も抱いていたい。その心理は複雑だ。距離感はとても大事だ」

いつか、「イチロー監督」をみてみたい、とのファンの声は多い。

「現時点でそれ(監督)を問われたら『ありえない』と答える。ただ、王貞治氏に『現役のときに監督をやることを想像していましたか』と伺ったことがある。『全く想像できなかった。自分が監督になるとは思っていなかった』とおっしゃった。それを聞いた時に自分の気持ちも将来、どう動くか分からないとは思った。ただ自分がその器でないことくらいは現時点でも分かる」

世界に出て再認識したこと。そのひとつが日本語を大切にすることだ。

「米国に行ってから、日本語の深さや美しさを自分なりに感じるようになり、日本語をきれいに話したいと思い始めた。日本語でも自分の感覚や思いを伝えることは困難だと感じている。それが外国語となれば、不可能に等しい。英語で苦労する以前に、僕は日本語で苦労している」

野球以外でも、経済や日本企業の動向などにも高い関心を持っている。

「日本の製品は安心感が抜群。外国メーカーの技術も、実は日本人が開発していることが多いのでは、と想像している。技術が外に出ていく状況をつくってしまった国や企業に対して、それはいかがなものか、とは思う。いま、安倍(晋三首相)さんのこと、めちゃくちゃ応援しているんです。頑張ってほしいです」

「初めて株を買ったのが、中学生の時。それで、中学のころから株価分析の本を読んでいた。任天堂の簡単な株のゲームなんかも好きだった。今もホテルでリクエストしているのは、日経新聞。応援したい企業の現物株を買って、ちょっとだけ配当をもらうというスタンスだ」

日本経済新聞は2013年に、脱原発を「思い込み」にして、脱却を狙う

本日の日本経済新聞一面のを読んで、あまりにも酷い内容なので唖然とした。特集「2013年展望(上)」のインタビュー記事だ。全文を掲載するので、まずは一読してもらいたい。

(上)「思い込み」から抜け出せ 工学院大教授 畑村洋太郎氏

震災復興、デフレ脱却、高齢化への対処……。新政権の前途には難題が山のようにある。2013年の日本はどうすれば展望が開けるだろうか。

――原子力発電所事故からどんな教訓を引き出すべきでしょう。

「事故の原因は『長時間の電源喪失は起こらない』との前提で運営していたことに尽きる。『あり得ることは起こる』『思いつきもしない現象も起こる』と考えるべきだ。2000年に米国の原発の専門家にこう言われた。『日本の技術屋は言わないといけないことを言わない。いつか大事故に見舞われるぞ』と」

狭い国民の視野

――原発政策は衆院選の主要争点でしたが、具体的な議論にはつながりませんでした。

「国民の反応は極端で視野が狭くなっている。反対派は事故が起きた途端に『脱原発』『放射能ゼロ』に傾斜し、電力需給の安定に気を配れなくなっている。原発維持の側も多くの人が『安全基準さえあれば再稼働できる』と過信している。日本人は『黙る』『考えない』『思い込む』のどれかに陥っている。これらを正反対の姿勢に改めなければ、適切な技術開発はできない」

「原発に関してだけではない。財政難の根っこにあるのも『あり得ることは起こる』と考えない姿勢だ。国際収支が赤字になり、これ以上借金すれば、いずれ利払いができなくなる。最悪のシナリオは米国や中国に金を借りる事態が起こること、日本国債を米中に大量購入されることではないだろうか。消費税率引き上げへの反対意見もわかるが、ほかの国に運命を左右される未来図に目をつぶるのも怖いことだ」

――高速道路の天井崩落事故も起きました。

「原発もそうだが、日本が世界一の水準に近いと思える技術はいくつかある。だが、ほかの国に大した技術がないと思うのは傲慢だ。公共投資をみても、中国やインドは鉄道など必要なインフラの技術を猛烈な勢いで磨き上げている。単に金をばらまくのではなく、目標を明確に絞り込んで取り組んでいる」

「インドの地下鉄は100秒おきに列車を運行させる目標を立てているという。今の日本でも最短120秒ぐらいかかる。そう遠くない時期に日本は追い越されるところまできている」

「中国やインドの技術者は、自前のノウハウを押しつけようとする日本の姿勢を嫌がっている。彼らが望むのはノウホワイ(know-why)。どうやるかでなく、なぜやるか。それがわかれば、自国の風土や市場に合った技術を磨き上げられるというわけだ」

「いい物」に固執

――大手電機メーカーが苦戦するなど国際的な競争力低下は深刻です。

「中国で液晶や半導体メーカーの担当者に話を聞くと、市場の声に即した製品なら技術は周回遅れでも構わないという。日本は『いい物を作れば売れる』と自社製品に自信を見せるが、そういう発想に凝り固まっているから逆に市場の求めに応じきれていない面がある。たとえば中国製品が市場をほぼ独占した太陽光パネルはどうか。品質などに問題はあるだろうが、安さを求める消費者に素直に応えた結果にほかならない」

「日本の企業は欧米のまねをして高度成長を果たしてきたが、お手本がなくなり迷走している。これからの日本には市場や社会の要求に謙虚に耳をすます姿勢が大切になってくる」

(聞き手は大滝康弘)

はたむら・ようたろう 東大教授を経て、2001年に畑村創造工学研究所を開設。失敗学を提唱、鉄道脱線など事故の再発防止策を企業に助言している。原発事故では政府検証委の委員長を務めた。東京都出身、71歳。

外面は新聞記事らしく、中立公平を装っているかもしれないが、中身は「思い込み」の塊だ。どうしてこんな記事を一面に持ってこれるのか理解に苦しむ。

冒頭で、”事故の原因は『長時間の電源喪失は起こらない』との前提で運営していたことに尽きる”と言い切っているのだからすごい。この人が”原発事故では政府検証委の委員長を務めた”というのにもびっくりした。原発以外にも色々と意見を言っているのだが、ほとんどピント外れの様相を示している。そもそも、理系の方が、経済を語るのはどうしたことか・・・。

“最悪のシナリオは・・・日本国債を米中に大量購入されること”との意見だが、日本がアメリカの国債を大量購入していることにはどう考えているのだろうか?などなど、記事の最初から最後まで、年寄の寝言が連なっている。

「思い込み」からの脱却は、なかなか難しそうだ。

年賀はがきは金券店で・・・仙台では

2011/11/23付の日本経済新聞で『(店頭サーチ)年賀はがき、1枚44.5~45円 金券店など4%安 電子メール普及影響 [有料会員限定] 金券店で年賀はがきの販売価格が下がっている。東京・新橋の金券店などでは現在、定価50円の年賀はがきが1枚44.5~45円。』という記事を見つけた。

早速、仙台クリスロード付近の金券店を訪ねてみた。

東京に比べて、48円~46円と率がよくないですね。種類も豊富じゃないようなので、使えないかな。