猿の詩集〈上〉読みました。
戦争で死んだ兵士が、霊となって故郷に帰り、原爆の爆発のショックからか居合わせた年老いた猿の体に、詩人の魂、鳶の視覚と合体して戦後の故郷を見守るという筋書きです。
文章は、詩人の魂と合体したわけですので、散文詩のような、リズミカルな文体で書かれており、読後しばらくは耳に残ります。読み終えるのに4-5日かかりましたが、個人的ですが、その間、戦争経験のある親父が、非常に近くにいるような感覚がありました(親父は30年くらい前に他界しています)。
夢などにでてきたのですが、とくに因果関係には気づきませんでしたが、おそらくこの本の影響かと思われます。読書前にも、親父のことはきになっていたので、逆にそのことがこの本に巡り会わせてくれたのかもしれません。
最近読書したのは、佐野眞一の「だから、君に、贈る。」手元に未読の「スタッズ・ターケル自伝」があり、普通の人々の生活に関心がある書籍が偶然に並ぶこととなりました。なにか意味があるのでしょう。
この本は、戦後を生きた人々の生活を、猿の体、詩人の魂、鳶の視覚と死者の観点からあますところなく伝える本に仕上がっています。