二冊読みました。「マリファナ物語」、「FOR BIGINNERS ドラッグ」。どちらもおもしろかったのだが「マリファナ物語」はやや冗長だったかな。エッセイ風の書き方なので仕方ないのだが、あっけらからんとマリファナ賛歌をしているのは問題がないのかななどと思ってしまいました。
「FOR BIGINNERS ドラッグ」はしっかりとていねいに書いてありますね。歴史、背景、哲学、医学的心理学的な考察なども網羅しているので、勉強したい方にはこちらをおすすめしたいところです。
ヘロイン、モルヒネなど人工的にに精製したものは依存性が高くなり、害を及ぼすことになるのだが、けしとかコカの葉などの自然の状態のものはそれほど害はないようです。コカコーラなどは当初はコカインが含まれていました。現在でもコカインを除去したコカの葉の成分が含まれているとのことです。
「FOR BIGINNERS ドラッグ」、最終章-麻薬が人間にもたらしたもの-で、気になった箇所を以下に記載してみましょう。
痛みがすべての出発だった-P154-, 世界の四大文明発祥地がいずれもけっして快適とは思われない自然条件のもとにあり、なぜこんな風土で文明が興ったのかという問い対して、こんな説がある。これら文明発祥地のエジプト、メソポタミア、インダスの三つまでがけしや大麻など麻薬の生産地だったこと。苦痛があり、さらにはそれを快楽に転化させる麻薬があったからこそ、文明が築かれたのだという。また、時代が遅れてはいるものの、これら四大文明とは隔離された新大陸のマヤ、インカなどの文明は幻覚植物やコカの葉なしには興り得なかったという考えが、歴史学者の間では支配的だという。
“偏在精神”が奇跡的体験をもたらす”脳や神経系それに感覚器官の機能は主として削除作用的であって、生産作用的ではない”というベルグソンの示唆を引用して、こう解釈する。本来、人間の脳や神経系は自分の身に生じたことをすべて記憶する能力があり、宇宙のあらゆる出来事のすべてを知覚することができる。これが”偏在精神(MIND AT LARGE)”である。しかし、生物である人間の最大の仕事は生存である。その目的達成のために脳や神経系は情報を極端に絞り込んで人間の”意識”に送り込む。つまり脳や神経系は”減圧バルブ”の役割を果たし、我々は広大な宇宙の”ほんの一滴”の知覚をもとに、言語という概念化された表象体系を駆使してリアリティを得ているという。ところが、ある種の人々は、”減圧バルブを迂回するバイパスのようなもの”を生まれつき持っている場合がある。精神修行や自然発生的に一時的なバイパスを得る場合もある。また、催眠状態や薬物によっても、こうした”奇蹟”を起こす場合があるという。