猿の詩集(上・下) / 丸山健二 読みました

猿の詩集〈上〉読みました。

戦争で死んだ兵士が、霊となって故郷に帰り、原爆の爆発のショックからか居合わせた年老いた猿の体に、詩人の魂、鳶の視覚と合体して戦後の故郷を見守るという筋書きです。

文章は、詩人の魂と合体したわけですので、散文詩のような、リズミカルな文体で書かれており、読後しばらくは耳に残ります。読み終えるのに4-5日かかりましたが、個人的ですが、その間、戦争経験のある親父が、非常に近くにいるような感覚がありました(親父は30年くらい前に他界しています)。

夢などにでてきたのですが、とくに因果関係には気づきませんでしたが、おそらくこの本の影響かと思われます。読書前にも、親父のことはきになっていたので、逆にそのことがこの本に巡り会わせてくれたのかもしれません。

最近読書したのは、佐野眞一の「だから、君に、贈る。」手元に未読の「スタッズ・ターケル自伝」があり、普通の人々の生活に関心がある書籍が偶然に並ぶこととなりました。なにか意味があるのでしょう。

この本は、戦後を生きた人々の生活を、猿の体、詩人の魂、鳶の視覚と死者の観点からあますところなく伝える本に仕上がっています。

ぴんぽんぱんふたり話 / 瀬戸内寂聴 美輪明宏

ぴんぽんぱん ふたり話読みました。非常におもしろかったです。

三島由紀夫のくだりが興味深かったな。三島ファン必読というぐらいのインパクトはあった。それと長慶天皇のくだりも詳しい。その他異界ファンにはたまらない話がたくさんです。

10年ぐらい前かな、寂聴さんの法話を聞きに岩手までいったことがあります。そういったこともあって、興味深く読ませていただきました。

遍在転生観-渡辺恒夫

先に紹介した彼岸の時間―“意識”の人類学で、心理学者の渡辺恒夫氏の遍在転生観(輪廻転生を考える―死生学のかなたへ)を知りました。興味深い説なので、ここで紹介します。
・・・なぜ我々は、他人の痛みを想像できるのだろうか。
それは、すべての他者が、多かれ少なかれ「私」の「生まれ変わり」だからだ、と考えてみてはどうだろうか、と渡辺は提案する。「生まれ変わり」というのは、時間をおいて出現する「コピー人間」なのだから、同時に存在する人たちが「生まれ変わり」だというのはおかしい。しかし渡辺は,物理学者R・ファインマンの、反粒子は時間を逆行していると見なせる、というモデルを引き合いに出し、時間というものが一次元的に逆戻りせずに流れると考えるのではなく、二次元的な時間平面の上をまがりくねりながら流れている、と想定すれば問題は解決する、という。二次元的な平面の上をジグザグに進む点は、一次元の軸に投影すると、いったり来たりしているように見えることもある。そして、自分の「生まれ変わり」たちが同時に存在しうることになる、というか、すべての他者は自分の「生まれ変わり」なのである。このような、拡張された転生観を、渡辺は、「遍在転生観」と呼ぶ。
「〈私〉は、時間の第二次元軸上を無限に転変を重ねる宇宙唯一の自己意識である。宇宙に生きとし生けるあらゆる人間、あらゆる自己意識的生命個体は、この唯一の〈私〉の、時間の第一次元軸上への投影にほかならない」。これは、真の自我(アートマン)はブラフマン(宇宙意識)にほかならないというウパニシャッドの理論ときわめてよく似た結論である。

前世療法 /ブライアン・L・ワイス

前世療法 /ブライアン・L・ワイスは少し前に読んだのだが、刺激をうけた書籍だ。リンクを文庫本版につけたのだが、これはカスタマーズレヴューが多かったからだ(今の時点で50件を超えている)。

この後にvol.2を出すのだが、これはなんとも読みにくい本だった。vol.1も途中から冗長になってくるのだが、ま、それは勢いがなんとかしてくれたのだが、vol.2はやや閉口してしまった。

代わりといってはなんなのだが、そこで出会ったのが、飯田文彦氏の「生きがいの創造」からなる一連の著作だ。これはブライアン氏に比べると文章が非常に整理されていて、読みやすい。オリジナリティーではブライアン氏にはおよびないが、読みやすさでは遙かに越えてしまう(これもカスタマービューが50件を超えている)。

ついでにといってはなんだが越智啓子氏の「生命の子守歌」からなる一連の著作もおもしろい。